私がノックスビルに来たのは昨年の9月末.そして,この4月22日,テネシー州の運転免許証を初めて手にしました.
「え?なんでそんな時間かかるの?」とお感じでしょうが,これには深〜い訳があるのです.実は今,テネシー州(多分,他の州も)の自動車免許制度は混沌の中にあります.発端は9・11.テロの実行犯が身分証明書として自動車免許証を持っていたことが問題になりました.端的に言えば,ガイジンに簡単にIDを発行するな!ということ.それで,テネシー州が全米各州に先駆けて,法律を変更したのが2,3年前.- 永住権を持たない人には,ID機能が無く,自動車を運転するだけのCertificate for driving(CFD, 訳すと運転免許じゃん,という突っ込みは無し)を発行する.
つまり外人にはIDは一切発行しないという措置です.そりゃ反発ありますよね.それにID機能はないっつったって,確認された住所と名前があって,写真がありゃ,そりゃ実質的にはIDと同じ訳だし,理屈先行で実効が伴わず.意味なし.で,昨年の10/1付け,つまり私が渡米したのとまさに同じタイミングでまた法律が変更されたんです.
- CFDは廃止する.ガイジンにはID機能のあるTemporary driver license (TDL)を発行する.ただし,正式な在留資格が一年未満のものには発行しない.
つまり私のように在留期間一年未満の人は,ナント「免許が発行されず,合法的に運転出来ない」ことになってしまったんです.(注:”国際免許証”はあくまでも旅行者のためで,居住者は米国入国1ヶ月以内(テネシーの場合)に現地の免許証を取らなければならない).これには在テネシーの外人一堂,大混乱,その中の一人が私だったのです.この改悪にはさすがに苦情が多く,今年4月頭付けで再度法律が変更されました.その理由というのが「大学の教授を始め,多くの人からおびただしい苦情が来たため.」笑っちゃいますね.少し議論すりゃ,事前に分かろうもん?で,改訂内容がこんなの.
- 「在留資格一年未満のものには免許を発行しない」という条項を除去する.
それで,この度ようやく運転免許を取得出来た,という訳なんです.
この話,どう思われますか?私は迷惑を被った張本人だし,今回の例はあまりにも思慮が足りないと思いますが,法律や規格を取りあえず作っちゃって,どんどん修正して正して行く,という姿勢,アメリカっぽいですね.そして,そういう過渡期の凸凹は,片目をつぶって許してやる(でも意見/苦情はきちんと言う),という姿勢もアメリカっぽい.もう少しこういう柔軟さが日本にあっても良いような気がしますね.
・・・ガソリン税の暫定税率が切れちゃったのも良い機会と思って,復活に躍起になるより,暫定税率の撤廃によるメリット,デメリットをじっくりと議論して欲しかったな,というのは私の私見です.
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