ルート66といえば,少なくとも看板くらいは見た事あるぞ,という方が多いと思います.かつて西海岸のロスと五大湖のほとりのシカゴを結び,アメリカを横断していた国道です.商業的な重要性もさることながら,砂漠の一本道や,ネオンサインのある小さなガススタンド,キャデラックやハーレーでの旅・・・大アメリカ旅行を象徴するようなアイテムが培われた重要な道路なのでしょう.昨日宿泊したギャラップはその頃の象徴的な町並みを残す町の一つなのだそうです.今日はウォーミングアップがてら,いきなり高速道路(I-40)には乗らず,ニューメキシコ州内に残る旧ルート66をほんの少しだけ,走ってみます.
とはいえ,道自体は特別なものではありません.ルート66の代替えとして建設された高速道路I-40に平行して走っています.それでも道ばたに「ヒストリック・ルート66」の看板が立っていたり,如何にも昔からやってますといった感じの町並み,先住民族の経営する売店などがあり,当時の雰囲気を忍ばせていました.
ニューメキシコ/アリゾナ州境界から高速道路I-40に乗り,時速75マイルで西にカッとぶこと一時間,化石の森国立公園に到着.おおざっぱに言うと,丸太んぼの化石がゴロゴロ転がっている公園です.だから,ちょっと寄って雰囲気を見てこよう,ぐらいに思っていたのです.ところが,スタンプ目当てで訪れたビジターセンターでレンジャー(国立公園の案内の人)と話していたら,「あなたの子供達,何才?このクイズブックの課題を3問解いて,出口の博物館で提出したら,ジュニアレンジャーに認定されて,このバッジ貰えるわよ」と,ピカピカのバッジを見せてくれ,ワークブックを2冊くれたのです.(後で調べたら,こういう子供のためのプログラムはあちこちの国立公園でやっているみたいです.知らなかった)子供達は大喜び.急遽,しっかりと見学して課題を解くことと相成りました.
問題は,年齢によって3レベルに分かれていますが,どのレベルもよく考えられ,それなりに調べたり,作業したりして答えを見つけるようになっています.例えば,砂漠の絵に,本物と同じように色を塗りましょう,とか,化石の手触りや色はどんなですか(いずれも5歳児向け),というのから,絵に描いてある恐竜を,肉食と草食に分けて見ましょう(8歳児向け)というものまで.サポートをお願いしたじさまばさままで,結構考え込む程・・・なんというか,アメリカ人って楽しむ/楽しませるのが上手いなぁ,と思います.
最初のスポットはペインテッドデザート.比較的淡い色彩で構成された砂漠なのですが,この数日原色の岩肌を見て来た私達一行には少し刺激不足(笑).じっくり眺めるというより,色鉛筆を持ち出し,娘に塗り絵をさせるのに一生懸命な私.・・・その時,息子とじさまが何をやっていたかというと,車にこもって電子辞書片手に課題を解いていました.お〜い.少しは観光もした方が良いんでない?
次のスポットはルート66.公園内を旧ルート66の残骸が走り抜けている所です.舗装は剥がしてあり,盛り上がったかつての道路の土台と,電線の張っていない電柱の列が立っているだけ.私以外は誰も興味が無いようで,車から降りても来ず,「早く行こうよ」と言ってます.・・・フッ.次はバイクで一人で来るしかないな.
そして,これ.これがお目当ての丸太んぼの化石です.遠目には色も形も丸太んぼそのものなんですけれど,近づいてみると・・・お〜.まぎれも無く,全部石です.化石ですから,当然人間の生まれるよりず〜っと前の木な訳でして,木が丸のまま化石化し,あとで力が加わると,まるで丸太んぼみたいにぱっか〜んと割れるのですね.・・・しかし・・・この化石をジッと観察していたら,鮭トバが食べたくなってきたのは何ででしょう?
博物館に行き,最後の難問,恐竜の問題を解いてから,回答を提出しました.するとレンジャーの方,回答をチェックした後「お祈りの準備は良い?」.なんですと?お祈り?見ていたら,子供に手を挙げさせ,「私達はここで得た知識を生かし,ジュニアレンジャーとして,この後来る人たちのサポートを・・・」とひとくだりの宣誓.息子は懸命にレンジャーの台詞をフォローします.記名帳にサインさせられた後,「おめでとう!」の言葉とともにバッジが授与されました.盛り上げますねぇ.子供達,ここでも大喜びです.
思いがけず楽しんだ化石の森を後にし,ルート66の匂いプンプンの町ホルブルックを通過し,
メテオクレーター(バリンジャー隕石孔)へ. 展望台はちょうど火口のようになった丸い稜線の一カ所にあるのですが,思ったよりも大きく深い.ちびカメラの広角端にしても隕石孔らしくは写らないので,ムービーにしました.
ここは,以前は火口の跡と考えられていたのですが,バリンジャーという人が,隕石の落ちたクレーターであるという説をたて,後に彗星で有名なシューメーカーさんによって証明されたのだそうです.隕石孔の中心の炭坑のような孔や錆び付いた機材は,地下に埋まっているはずの隕石を見つけようとして発掘調査をした跡なんだそうです.・・・しかし,バリンジャーが説を立てたときの世の反応ってどうだったのでしょうね.”まさかぁ,何言ってんの?”みたな反応も多かったのかなぁ,と邪推してみます.
隕石孔を跡にしたのは午後5時.これで今回の観光スポットは全て網羅しました.あとは,この一週間ですっかりおなじみになった横に広い風景の中,最後の宿泊地フェニックスに向かうだけです.
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