帰国の途,第一日.アパートを引き払った後,宿泊したヒルトンは,ターミナルビルの隣の建物.連絡通路を100mも行けばチェックインカウンターに到着します.ワシントンDCへのフライトは朝6:00発.ワシントンで2泊するので,国内線扱い.早朝4:45に搭乗手続きカウンターに到着しましたが,田舎の空港のこと,特に長い列で混乱する事も無くチェックインが終了しました.
妻曰く,前日も昼食をご一緒した日本人の友人家族が,起きれたら見送りに来てくれるかもしれない,とのこと.ダウンタウンから空港までは30分くらい離れているし,さすがに大変なんじゃないか,と思っていたのですが・・・来てくれました.朝5時,ご夫婦と,眠い目をこすりつつ,3才のコウタロウくんも.本当に有り難う.田舎のノックスビルの日本人コミュニティというのは小さなものですが,親密で,得難い友人を得られた,貴重な一年でした.
各方面に向け,6:00に出発する飛行機は,4便「も」あります.離陸解禁時間なのでしょうか.とにかく,田舎の空港にしては手荷物検査場も結構なにぎわい.名残惜しいけれど,搭乗開始10分前の5:30になったので,友人に感謝しつつ,手荷物検査場へ.
で,IDチェックの係官氏曰く「え〜と,あなた(私)は良いのだけど,奥さんとお子さんはスペシャルボディチェックが必要みたい」.よく見ると,妻と子供のチケットに,悪魔の記号”SSSS”が付いてます.
(ちょっとだけ解説.アメリカではチェックイン時に貰う搭乗券にSSSSと印刷されてくることがたまに有ります.これはチケットの種類や予約履歴などから,コンピュータが「アヤしい人物」とはじき出した場合,印刷されます.そうすると,普通の手荷物検査ではなく,全ての手荷物の詳細検査/ボディチェックを受けなくちゃなりません.結構めんどくさい・・・.多分今回のは,国外(日本)で手配した片道チケットだったから引っかかったのだろうと思います.私が免れたのは,かろうじてスターアライアンスの上級会員だったからかも・・・)
あら〜.3人はあまり状況を理解出来ないまま,別ラインへ.御愁傷様です.(笑)
目的地のワシントン方面の空に赤みが広がり,上空で夜明けを迎えました.ちょっとまどろみつつ,窓の外を眺め,良い時間を過ごせました.朝早かったけれど,この便にして良かった.ワシントンに向けて降下する頃には,東の空が奇麗に染まっていました.
ワシントンDCのホテルに到着したのは朝8時.チェックインできるか聞いたら,「え?チェックアウトの間違いじゃなくて?」と驚くフロントのお姉さん.お互いに苦笑い.でも,開いている部屋が有りチェックインさせてくれました.なかなかツイています.
さて,今日の観光は,スミソニアンの航空博物館(別館).ワシントン国際空港の隣接地にあり,大型の格納庫をそのまま博物館にした,という強者施設です.もちろん誘導路は空港から繋がっていて,展示される飛行機はワシントン国際空港に降り立って,その足で博物館に向かうというワイルドな構造.立地自体が気分を盛り上げてくれます.
そして,その立地を生かし,比較的大型の飛行機が並んでいます.Boeing 707,コンコルド,そして・・・B29エノラゲイ号. 良い・悪いという話ではなく,重大な歴史を作ってしまった飛行機が目の前に有ります.核兵器の是非について語ろうとは思いませんが,この銀色の飛行機から投下された小さな爆弾が,当時14万人,現在までに40万人という一般市民の命を奪ったという事実だけを考えました.何千人もの罪ない方々が突然犠牲になった,衝撃的で悲惨な9・11の記憶がまだ新しい今,アメリカの人達も,この飛行機を見て感じる事は様々なのだろうと思います. それにしても,コンコルド,かっちょい〜.1970年代のイキオイを主張しています.世界の経済が工業とリンクし,人類の発展のために正常に機能していたことを語る,確かな証拠なのだなぁ.今の工業ってどうなのだろう.人類が生きて行くために不可欠な技術は,なかなか直近の利益には結びつきにくい.かといって政府主導の政策は,口先だけの日本政府は言わずもがな,世界的にも遅れがち.折角の素晴らしい新造機(A380やB787)ですら,個人企業(といっても国家規模の巨大企業ですが)の体力を確実にそぎ落とし,あっぷあっぷの状態.どこで方向転換をはかれば良いのでしょうね. 冷戦の象徴,SR-71ブラックバード.超音速のステルス偵察機です.この飛行機が開発されたのは1960年代.私はもっと新しい飛行機だと思っていました.チタンボディに超薄型の機体デザイン.ステルス製を高めるための外装塗料.当時,民間では知る由もなかったハイテク技術満載,国家機密満載の飛行機だったのでしょうね.最後に,ご紹介したいのが,IMAXシアターで見た映画”Blue Planet”. アポロ計画. 火星探査計画.外から見た地球.星としての地球の活動.外からの攻撃,隕石.そして,地球を破壊しつつ有る新しい脅威.私達.ストーリー的にはかなりベタですし,コンテンツも割と知られたものですが,ゆったりと進む構成と語り口が素晴らしく,なかなか引き込まれる内容.これまでに何度かIMAXを見ましたが,出色の出来映えでした.DVDも出ているみたいです.日本国内向けではないですが・・・.
パーフェクトな一日!と満足して出て来た博物館,しかし・・・約束の時間を10分過ぎてもホテルからのお迎えが来ません.アメリカ時間・・・かな?・・・と思いつつ,ホテルに確認の電話.フロント氏曰く「今向かっているんだけど,渋滞しててもう少しかかるみたい」
ふむ...渋滞ね.10分後,笑顔とともに現れたおばちゃん運転手.
「あはは.ごめんねぇ.忙しくて,あんた達の事忘れてたよ〜.あはは」
おばちゃん.正直です.その後,乗車時間きっちり10分でスムーズにホテルに到着したのでした.
ちなみに,今回宿泊したのはワシントン国際空港のエアポートマリオット.最後だからホンモノのマリオットを奮発しよう,と思ったのですが,残念ながら設備や雰囲気はCourtyardなどのマリオット系のB&Bホテルとさして変わらないレベルでした.orz
時差ボケのハズなのに記事をアップしてるとはさすがブロガー魂!
フロント氏の気配りもよそに正直者のおばちゃん(笑)いいなぁ、こういうの(笑)
投稿情報: Nana | 2008/10/05 13:18
[いいですね] おばちゃん、最高です!
スミソニアン博物館の別館、何時かは行ってみたいですねー(笑)
>「あはは.ごめんねぇ.忙しくて,あんた達の事忘れてたよ〜.あはは」
投稿情報: shin | 2008/10/05 14:09
[いいですね] スミソニアンにまで行けたのですね~、あの飛行機は日本人にとっては複雑な思いがしますが逆にアメリカの人達にとってゼロ戦はパール・ハーバーの事がありますから、戦争って悲惨な思いしか残らない、教訓として・・・ずっと展示して欲しいと思いますね。それにしても、おばちゃんの一言には笑いました~=^_^=無事にホテルへ到着して良かったですね♪
投稿情報: yumin | 2008/10/05 14:44
[いいですね] お空、きれいですねー。
おばちゃん、いいですね。笑顔でそう言われたら怒れませんなwww
投稿情報: Sail | 2008/10/05 22:33
帰って来た当日は妙にスッキリしていて「時差なんて大した事ないじゃん」と思っていたら,週末どかんと来ました.二日遅れで来るって・・・もしかして,年?
空港敷地内のホテルだし,まぁ,そうだろうな,と思っていたのですが,運転手のおばちゃんの気持ちよい謝罪に,すっかりこちらも気持ちよくなったのでした.
でも,あそこで電話持ってなかったらどうなっていたんだろう・・・.
投稿情報: まさとい | 2008/10/06 07:00
shinさん,有り難うございます.なかなか楽しめました.コンコルドは圧巻でした.環境問題をなんとか克服した上で,こういう夢のある飛行機をまたいつか作ってもらいたいものですね.別館は国際空港の側なので,アメリカ東岸にお出でになるさいには是非一日時間を作ってお楽しみ下さい.(お迎えのシャトルバスの予約確認はお忘れなく.笑)
投稿情報: まさとい | 2008/10/06 07:10
yuminさん,有り難うございます.そうですね.おっしゃる通り,既に戦争体験自体が古い伝聞記憶になってしまった今,展示し続ける事に意味が有りますね.実は,このエノラゲイの回りや翼の下には,2次大戦中の日本の戦闘機が何機も並んで展示してあり,上空にはアメリカ軍のグラマン戦闘機が吊ってあるのです.ここは航空博物館なので,特に戦争や歴史の押し付けがましい説明は無く,淡白に飛行機そのものの説明をしてあるのみでしたが,じっくり見た人の何人かが何かを感じるのであればそれで良いのだろうと思います.
投稿情報: まさとい | 2008/10/06 07:19
Sailさん,有り難うございます.なかなか良い夜明けでした.「早起きは三文の徳」みたいなフライトでした(笑).日本だったら”予約のお客を忘れちゃう”なんてこと自体ないのでしょうが,笑顔で「いやぁ,ごめんねぇ」なんて言われたものだから,かえって話に花が咲いてしまいました.でも,10分遅刻段階で確認電話して良かったです.我慢の限界まで待っちゃいけない(笑).
投稿情報: まさとい | 2008/10/06 07:25